私は、相当な方向音痴だ。
電車に乗ると、50%くらいの確率で間違える。
そもそも、一つのホームに違う行き先の電車が来るというのが、反則攻撃ではないかと思っている。
先日も待ち合わせで出かけると、新宿に着くはずが、東京駅でおかしいと気づいた。
これもモバイルアプリの教える電車に乗ったつもりで、安心したのがいけなかった。
どうやら1本早い電車に乗ってしまったらしい。
到着すると、若い友人たち2人に、意外と早かったですね? と言われた。
ごめんなさいと謝罪したところ、
「それは、遅れたことに対してですか? それとも、予想を裏切って早く着いちゃったから?」
と冗談が返ってきたので笑った。
いい人たちで良かった。
どうも、こういうそそっかしさは、直らない。
きっと、一生直らないのかも?
方向音痴系の失敗は山とある。
中でも恥ずかしいのは、さよなら〜、と手を振る別れ際に、
「え? どこに行くんですか? そっちは反対ですよ」
と言われる瞬間だ。
なので、車で外出する方が安全だ。
なにしろ、ナビさんがアシストしてくれるので、迷わなくて済む。
そうして電車に乗らないから、更に間違いが増えるというわけだ。
一昨日のこと、その日はランチの約束があり、横浜の中心部へ電車で出掛けた。
諸々あって、昔に読んだカミュの「異邦人」を持って出ていた。
薄い本なので、ちょうどいいと思っていた。
帰り道、横浜から西へ向かう電車にするはずが、なぜだか東に向かっていた。
例の如くホームの番号を間違えたのか、自宅とは反対に向かう電車だった。
乗り込んでからすぐに扉が閉まってしまい、間違えたと気づいたけれど降りることができない。
ショック?
いえ、そんなにショックでもない。
また、やらかしてしまったと思ったので、さっさと西へ向かう電車に乗り換えた。
この駅には、1本の路線しかないので、今度は、必ずたどり着くという安心感があった。
バッグから取り出した本を読んでいると、外国の風景が思い浮かんだ。
そうそう。
頭の中に、風景を思い描いていると、以前にも一度、似たような景色を想像したことを思い出した。
その頃は乱読をしていて、世間で金や銀やダイアモンドほども値打ちがあるように言われていた本も、ただ読み流していた。
勿体ないことをしていたと思うけれど、その頃は、頭の中が若すぎたのか、ストーリーだけを追いかけていて、深く内容を理解することなど全くできていなかったと思う。
ややあって、ふと目が覚めた。
え?!
一瞬立ち上がってホームの駅名を見ると、一つ手前の駅だった。
ほっとして席に戻ると、目の大きな美人の隣席に座った女性がニコニコしている。
まだ寝ぼけて異邦人の中にいる私は、英語でバタバタした言い訳をしていると、あちらは流暢な日本語で返事をしていた。
途中でおかしいと気づいて日本語にスイッチした後、2人でしばらく笑っていた。
彼女は、イランの人だった。
中東の女性って本当に魅力的だ。
袋を被せて隠しておきたい男性の気持ちもわかると思った。
先に、駅に降り立った私が振り返ってみると、彼女は、大きく手を振っていた。
私も同じように手を振り返しながら、まっすぐな親しみの気持ちだと思いたかった。
イランと言えば、ロシアに武器を供給している国。
全てのロシア人を、そして協力している国の人たちを敵とは思いたくないけれど、プーチンのしていることは、明らかにおかしいと思う。
日本の情報が欲しいのは、ロシアだけではないけれど、情報収集されているのは間違いない。
この国は、スパイ天国と呼ばれ、想像もつかないくらい、たくさんのスパイが入り込んでいるかもしれないとメディアでも言われている。
戦争が日常に影を落とす。
早くスパイ法を制定してほしい。
そして、外国から来ている人と、安心して文化交流できるようであってほしいと思う。
sofiane doughecheによるPixabayからの画像
