ヘルソン州ダムの決壊

ウクライナ侵略戦争

昨日、ウクライナの軍情報機関トップのブダノフ国防省情報総局長が、ヘルソン州カホフカ水力発電所のダム決壊の30分前には、ロシア側が無線で現地の部隊に荷物をまとめて撤退するよう命じていたということを発表したそうだ。
更に米国衛星やノルウェーの地震観測系でも、爆発したと感じられるレベルのデータが検知されたらしいことが、既に発表されている。

ロイター通信より

ロシアの破壊工作グループがダム爆破、証拠通話を傍受=ウクライナ
ロシアが爆発物仕掛ける、カホフカダム破壊で証拠発見=NYT

6月6日にダムが決壊してからは、日本のメディアでも、「ダムを壊したのはロシアかそれともウクライナか?」という内容のタイトルで報道があり、また番組の中でディスカッションが行われているのを観ていたけれど、証拠もなく話している限り、結論は出せないというのが理解できた。
けれど、これまでの1年数か月のロシアの行動とプーチンの話、ウクライナの動きとゼレンスキー大統領の話を見比べていて、どう考えてもウクライナがそんな過激なことをする理由がないと、私は思っていた。

そもそもこの侵略戦争を始めて攻撃を仕掛けてきたのは、ロシアのプーチン大統領であって、ウクライナ側ではない。
覇権主義国家の時代錯誤な戦争で、地球の安全を脅かすような大胆な戦争を始めるのには、一般的な国際常識を持った政治家にはできないと思う。
それだけプーチン大統領は、特別なのだろう。

元KGBのこの人がトップに立って以来、反体制派の人の不審死や暗殺が多すぎると思う。
ジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさんもその一人だった。

wikipedia アンナ・ポリトコフスカヤ

祖国を大事に思うからこその批判だったし、取材に基づいて、かなりショッキングな内容の記事を書いていた。
その勇気とまっすぐな正義感に、当時、感動を覚えながら本のページをめくっていたのを思い出す。
ところが、2006年10月に自宅エレベーター内で亡くなっているのが発見された。
逮捕されたのはチェチェンの人だったが、それさえ信じられなかった。
何で自分の国の味方をする人を暗殺する必要があったのだろう?
一番、動機のある人は、彼女のペンで激しく批判されていたウラジーミル・プーチンではないかと思っていた。
同じ2006年11月には、ロシア連邦保安庁(FSB)およびKGBの元職員だったアレクサンドル・リトビネンコ氏が亡命先のイギリスで毒殺された。
この連続の殺人事件当時、私は欧州に暮らしていて、もしかすると世界で今一番恐ろしい権力者は、プーチン大統領ではないかと思った。
その時の感覚は、間違っていなかったのかもしれない。

戦争を仕掛けたロシア側の装備やタンクは、かなり古いものも多く、弾薬・兵站にも欠くような状況が続いていると聞いた。
ワグネルのエフゲニー・プリゴジン代表もかなり怒っていて、ロシアのショイグ国防相に向けたメッセージが流れたのは有名な話になっている。
今回のダム破壊の時には、知らされていなかったロシア軍の隊もあったと報道されていて、水害で命を失ってしまった兵もあったと読んだ。
そこには、自分の目標と掲げる大義のためには、民の命を犠牲とするのは仕方がないという姿勢が見て取れるし、そういう理屈から自国の兵士にも十分なケアがなされていないように見える。
更にプーチン大統領は、すでに2万人ものウクライナの子供を拉致していて、これは国際的に訴えられているので、国から外に出れば逮捕されることになっている。
日本からもたくさんの人たちが北朝鮮に拉致されていて、お子さんと再会できないままに亡くなった人もある。
そこから考えれば、プーチン大統領のしていることがどれほど非道でむごいことか、想像するに難くない。
最近の日本のサイトの中に、なぜかプーチン擁護説があるけれど、子供を誘拐して法律に反しているのだから、それは、おかしな論調だと私には感じられる。
更に日本だって攻めるのを辞さないと考えているような国のトップのことを、どうしたら擁護できるのか理解に苦しむのだ。
歴史的見地とか、他と比較してどうとか考える必要はないのではないだろうか?
2万人もの子供を誘拐していることで、既に審判は下って然るべきだと、私は思う。

一方、ウクライナ軍は、国際法的に違反なことをしないように対ロシアの戦闘活動を行っていて、はっきりと戦車は兵士を守るために役立っているという発言がある。
多くを書く必要はなくて、そこで既にどちらが怪しいかを判断しても間違いではないと思う。

一刻も早く、子供たちを両親の元に返してほしいと願う一方で、いい加減、プーチン大統領がこの戦争の継続を諦めるべきだとも思う。
いろんな説を聞くけれど、どこが正しいと言う前に、この戦争を終わらせるのには、大きな過ちで他国に侵攻した側が引いて終わらせるべきではないかと思っている。
一刻も早くウクライナの人たちと、ロシアの民間の人たち、そして周辺の国の人々が安心して暮らせるよう、戦争が終わることを祈りたいと思う。

Andres ZuninoによるPixabayからの画像

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